編曲

分数コードで低音を滑らかにつなぐ

G/B、F/A、Am/C のような分数コード(オンコード)で低音を順次進行にし、落ち着いた流れを作る編曲方法。

この記事で分かること

低音が跳躍する進行は、静かな曲には強すぎます。分数コードを使って 低音を順次進行 に変えるだけで、流れが滑らかになります。

分数コードの読み方

  • C/E = C を E(3度)の上で鳴らす
  • G/B = G を B(3度)の上で鳴らす
  • F/A = F を A(3度)の上で鳴らす

低音が「コードの3度」になる形が最も使いやすいパターンです。

定番の置き換え

| 元の進行 | 置き換え後 | 低音の動き | | --- | --- | --- | | C - G - Am - F | C - G/B - Am - F | C → B → A → F | | C - F - G - C | C - F/A - G/B - C | C → A → B → C | | Am - F - C - G | Am - F/A - C/G - G | A → A → G → G |

使うと得られる効果

  • 跳躍しないため、左手が静か
  • 低音が旋律のような動きを持つ
  • 和音が変わる瞬間の段差が消える

注意点

  • 分数コードを連続させすぎると、ベースが目立ちすぎる
  • 低音と旋律が同音になると、印象が弱くなる
  • ペダルを変えずに分数コードを連結すると濁る

C - G/B - Am - F を音で確かめる

表の1行目(C - G - Am - F を C - G/B - Am - F に置き換える)を音源にしました。まず通しで聴き、そのあと和音を1つずつ確かめると、どこで低音が半音だけ下がっているかが分かります。

聴き比べ

C - G/B - Am - F を1つずつ確かめる

低音だけを取り出すと C → B → A → F と順に下がります。まず通して聴き、その後1つずつ確かめると、どの和音で何が変わっているかが分かります。

  1. 通して鳴らす 4つの和音・約20秒

    ここを聴く:和音が変わっても、大きく動いた感じが出ないところ。

    4つの和音を続けて鳴らします。いちばん低い音が C → B → A → F と少しずつ下がるため、和音は変わっているのに滑らかに沈んでいく印象になります。

  2. C C4 E4 G4・出発点

    ここを聴く:この曲の重心になる高さ。

    1つめの和音。最も低い音は C4 です。

  3. G/B B3 D4 G4・低音がBへ

    ここを聴く:低音が C から半音だけ下がるところ。

    2つめ。G の第3音 B を最低音に置いた形です。ふつうの G だと低音が C から G へ5度跳びますが、B にすると半音下がるだけになり流れが途切れません。

  4. Am A3 C4 E4・少し翳る

    ここを聴く:明るさが引いて、少し陰る瞬間。

    3つめ。低音がさらに全音下がって A3 になります。短三和音なので響きの色が変わります。

  5. F F3 A3 C4 F4・広がって受け止める

    ここを聴く:上下に広がって、受け止める感じが出るところ。

    4つめ。低音が F3 まで下がり、上に F4 を足して1オクターブ分の幅に広げています。

弾くときの手順

最初は左手だけで、C3 → B2 → A2 → F2 と低音の線だけを弾いてください。この4音がなめらかにつながる速さが、その日のテンポの目安になります。次に右手で和音を重ねます。右手はC4より上に置くと、低音と分離して濁りません。

最後のFは、上の音を1つ足してF3 - A3 - C4 - F4のように広げると、受け止める感じが出ます。ここで急いで次に進まず、1拍分ほど余白を取ると、進行全体が落ち着きます。

つまずきやすいところ

低音を強く弾きすぎると、和音が変わるたびに重心が動いて落ち着きません。左手は右手より小さい音量を基準にしてください。もう一つは、和音を切り替える瞬間にペダルを踏み替えないことです。前の和音の低音が残ると、AmとFが重なって濁ります。和音が変わる瞬間に踏み替える練習を、この4つの和音だけで繰り返すのが近道です。

練習ステップ

  1. 既存の楽譜の左手を、すべて分数コードに置き換えてみる
  2. 跳躍が消えたか、流れが滑らかになったか確認する
  3. 必要に応じて、元の和音に戻す箇所を選ぶ

分数コードは低音のために使う

分数コードは、おしゃれなコード名を増やすためではなく、低音の動きを整えるために使います。G/Bなら、コードはGの響きですが、左手の一番下にBを置きます。これにより、C-G-Amのような大きな移動を、C-B-Aのような順次進行へ変えられます。

専門用語では、コードの上側とベース音を分けて考えるため、分数コードやオンコードと呼ばれます。ヒーリングピアノでは、上の和音を複雑にするより、ベースラインをなめらかにする効果のほうが重要です。

使う場所と戻す場所

分数コードを使うと流れは滑らかになりますが、使い続けると安定感が弱くなることがあります。曲の途中ではG/BやF/Aで低音をつなぎ、フレーズの終わりや曲の最後では通常のGやFへ戻すと、落ち着きと終止感の両方を作れます。

録音では、低音だけを追って聴いてください。低音が歌うようにつながっていれば効果があります。逆に、低音が目立ちすぎるなら、分数コードそのものより左手の音量や音域を直します。

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